注:この記事はあくまで「筆者はこう考えている」という意見の表明であって、読者に対して正しい答えを教えるものではありません。
【結論】不幸を最小化するのではなく、幸福を最大化することを生き方の指針にする
経営学の本を読んでいたら、「モチベーションとリーダーシップ」に関する章で、このようなことが書かれていました。
その一部を引用します。
ハーズバーグの提唱した動機づけ-衛生理論は、2要因理論とも呼ばれ、仕事の中で満足や不満をどのように感じているかを調査するために、面接によって際立って良い感情と悪い感情を抱いたこととその事情を詳しく聞き取り、仕事に対する満足と不満足の原因を分析した。
〜中略〜
これら2つの要因が独立であることは、満足要因を欠くことは満足のない状態であり、不満足には直接結びつかないことを意味する。すなわち、満足の反対は不満足ではなく「満足がない」ことであり、不満足の反対は満足ではなく「不満足がない」ことになる。そのため、不満足の解消には、満足要因を見つけて喚起するのではなく、不満足要因を取り除くことが必要となる。
満足要因は、仕事を通じて高次の欲求を満たした際に得られ、それが低下しても不満足の原因となることは少なく、逆に、不満足要因は、低次の欲求に関わるものであり、それが低下しても満足感が生まれるのではないことが明らかになったのである。
経営学概論 (放送大学教材) | 山田幸三 p.171〜172より引用
重要なのはここです。
『満足の反対は不満足ではなく「満足がない」ことであり、不満足の反対は満足ではなく「不満足がない」ことになる。』
このことを以下に図解してみました。
これはつまり、満足と不満足は両立するし、満足がない状態と不満足がない状態も両立することを意味しています。
そして私は思いました。
「これってもしかして、人生の幸不幸についても同じことが言えるのでは?」と。
すなわち、幸せの反対は不幸せではなく「幸せがない」状態であり、不幸せの反対は幸せではなく「不幸せがない」状態なのではないかと。
つまり、幸せと不幸せは両立するし、幸せがない状態と不幸せがない状態も両立する、と。
これも同様に、以下に図解してみました。
これは、不幸の原因を取り除いても不幸ではない状態になるだけで、それによって幸せになるわけではないことを意味しています。
ビジネスの分野で例えるなら、売れない商品から売れない理由をなくしても、売れるようにはならないのと同じことです。
それによって生まれるのは魅力ある商品ではなく、以前と変わらない「買う理由のない商品」なので。
そして、程度の差こそあれ、人は生きることそのものに不幸(苦:く)が伴います。
どんなに幸せそうに見える人でも、不幸ではない人は存在しないのです。
これは、不幸を最小化することはできても、不幸をなくすことはできないことを意味しています。
対して、幸せかどうかは個人の主観のため、幸せのない状態は存在するし、またその逆に幸せには上限はありません。
であるならば、不幸を受け入れ、不幸を最小化するのではなく、幸福を最大化することを生き方の指針にしようと、私は改めて確信しました。
幸せの程度に関係なく、不幸をなくすことはできないのだから。
参考書籍
経営学概論 (放送大学教材) | 山田幸三
この記事では本書の一部のみを取り上げましたが、有名な「マズローの欲求階層説」などに関する記述もあり、経営に限らない教養を得られる教材です。
あとがき
今回は、不幸を最小化するのではなく幸福を最大化することを生き方の指針とするに至る、その思考プロセスを共有しました。
ただし、これは全ての人に当てはまるわけではありません。
その理由は、先天的な理由によって、そもそも幸せを感じられない人が存在する可能性があるからです。
次回は、どうすれば幸福を最大化できるのかという方法と、不幸の最小化を生き方の指針にした方がいい人について取り上げます。